新型コロナウイルスの感染が2020年の年明けから始まり、5月に入った今も収束しない。
最初は外国での出来事・・と他人事であった日本も徐々に感染の恐怖に包まれていった。
2月、豪華客船のダイヤモンド・プリンセス号の到着により、乗客が感染していたことで、
日本列島の感染は急速に広がった。
もちろん、この1件が無かったとしても感染拡大は時間の問題であっただろう。
隣人に・・友人に・・親族に・・
「ウツサレルカモシレナイ」「ウツシテシマウカモシレナイ」
この恐怖と不安は、人間関係をも変えてしまうのである。
コロナに怯える同僚から言われた言葉
私は食品関係の会社で、もう一人の同年代の女性と事務をしている。
裏表のない真面目で明るい性格で、信頼のおける優しい人。
彼女の子供は小学生と中学生
私の子供は中学生と大学生
コロナ疎開が疎まれつつあるころ、神戸の大学に通う息子が帰省した。
緊急事態宣言が出る前ではあったが、同僚からすれば息子は「コロナ感染者の可能性大」
というところだ。彼女は怒り気味に、泣きそうに言った。
「息子さん・・誰が帰省させたんですか?コロナ疎開はダメだって。気をつけてくださいね!」
感情的になる彼女。もちろん、その気持ちも、もっともだ。
息子を帰省させたのは紛れもなく母親である私。
一家族の身勝手な行動だと責められても仕方がない。
長引く学校の休校、都会での感染確率への不安。
どうする事が正しいのか、親としてどうすべきなのか・・
帰省をさせてもさせなくても、どちらの結果を選んでも不安は残る。
迷った結果の決断だった。
「もし、あなたのお嬢さんが大学生で同じ立場であったなら、帰省させなかったの?
心配で誰よりも早く迎えに行ったんじゃない?」・・と、私もまた彼女に心で問うた。
仮にダイヤモンド・プリンセス号が、子供を乗せた修学旅行の船であったとしたら、
私たちは一日も早く子供たちを下船させるように強く要請したに違いない。
感染して会えないままに隔離になるなんて、耐えられるはずがない。
人は誰しも、自分がその立場に立たないとどういう思考になるかが分からないものだ。
危機的な状況であるときほど冷静な対応を
テレビでコロナ感染者数が報道されればされるほど、恐怖に怯えざる得ない。
地元でも感染された方が酷い差別を受けた・・と噂で聞く。
石を投げられる・・嫌がらせの電話や貼り紙・・引っ越しを余儀なくされた
ご家族もいるとも聞いた。
コロナウイルス感染者は決して犯罪者ではない。明らかな被害者である。
それに比べ石を投げたり、車に傷をつけたりする行為は明らかに犯罪ではないか。
ダイヤモンド・プリンス号の乗客が、もし自身の年老いた親だったとしたら・・
楽しみにしていた旅行の結末だったとしたら・・決して石など投じることはできないはずだ。
まとめ
私達は不要不急の外出自粛という唯一自分にできることを実行している。
自宅に帰りたくても帰れない・・。
医療従事者の方々を思うと、なんと簡単な「努力」であろうか。
自粛に応じながらも、生活の不安で眠れない業種の方々を思うと、
これを「我慢」などと、言えるだろうか。
今一度、自分達の冷静な感情と行動を取り戻すべきだろう。